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CMS Watch : 2005年、ウェブコンテンツマネジメントのマーケット事情
2005年2月19日 掲載
2005年1月11日
原文: Web Content Management Marketplace Circa 2005 [cmswatch.com]
The CMS Reportの第7版がこのほど完成した。そこで今回は、ウェブコンテンツマネジメントのマーケット事情をあらためておさらいしてみよう。
CMSのマーケットは、過去1年の間、質よりもむしろ量の面で大きな変化を遂げた。しかし、そうした変化が積み重なって、それなりに重要な発展につながったのは確かだ。このコラムでは、CMS Watchが観測したウェブコンテンツマネジメント業界の6つのトレンドについて、取り上げていきたい。
トレンド1:中規模市場のチャレンジャーたち
今回のThe CMS Report (そして我々の「製品」ページ)では、新しい層のベンダーを追加した。それが「中規模市場のチャレンジャー」だ。これらのソリューションは、ライセンス金額で言うと15〜40ドルほどの価格帯に含まれ、企業のウェブサイトやイントラネットにとっては、そこそこ有益な選択肢となっている。The CMS Reportでは、Ektron 300/400、Refresh Software、Roxen、SiteCoreを詳しく取り上げた。この層のベンダーとしては、EPiServerやSynkronもある。
たいていの場合、これらのチャレンジャー組は、シンプルで低コスト、そしてパッケージのまま使えるソリューションを提供して顧客ベースを築き、マーケットでは自分たちをローエンドと位置づけてきた。そして現在は、拡大する売り上げを背景に、より高度な新しい開発プラットフォームを手がけようとしている。新しいプラットフォームは、多くの場合、XMLで作られていて(Refreshは例外)、新味のあるウェブサービス・インターフェースをフィーチャーしていながら、規模的には比較的小さい開発企業を顧客としている。
また、コンテンツ提供者の数が比較的少なく、そのためワークフローやロール・マネジメントのサブシステムもやや未発展なケースをターゲットとする傾向があるのも、チャレンジャー組の特徴だ。とはいえ、コスト・ポイントは当然ながら、かなり魅力がある。
トレンド2:バイキングの到来か?
高度なウェブ開発全般、特にCMS開発においては、これまでもそうだったが現在も引き続き、北欧勢が優勢を占めている。官民両セクターのメジャーな顧客は、健全経営の地域ベンダーを多数、支えてきた。Synkron(デンマーク)、Roxen(デンマーク)、EPiServer(スウェーデン)、Polopoly(スウェーデン)、SiteCore(デンマーク)、Web500(デンマーク)といった企業だ。間違いのないように言っておくと、ベンダーのなかには、好調なところもあれば不調なところもある。しかし、これら企業のほとんどは、地元を出て大きく羽ばたき、イギリスに進出した後、難しいドイツ市場にも食い込んだ。欧州のその他の地域にも少なくとも足跡を残し、北米にまで触手を伸ばしたほどだ。
これら現代ソフトウェア業界版の海賊たちは、きわめて進んだテクニカル・アーキテクチャをもたらしていることが多い。その多くは.NETで作られていて、本国の顧客の間では強勢を誇るベースだけに、外国へ繰り出す冒険の経済的基盤ともなっている。オープンソース・プロジェクトのMidgardでさえ、北欧にある種の拠点を築き、バルト海を取り囲む開発者の緩いネットワークのなかで成長した結果、新しいCMSのHanseatic Leagueへと発展した。
トレンド3:企業クラスは修正パッチの連続
企業レベルのコンテンツマネジメント・ベンダーは、ウェブコンテンツマネジメント製品の修正プログラム開発に追われた。Vignetteでは、中核ソフトのリライトをした際に取りこぼした機能を7.X.リリースで復活させるべく、必死の作業に取り組んだ。Interwovenは、しつこく付きまとうバグとスケーラビリティの問題を修正する一方で、及び腰の顧客に最新版へのアップグレードを説得しなければならなかった。Stellentでは、いつもどおりの奮闘が続いた。Documentumは、ウェブコンテンツマネジメントがドキュメント・マネジメントとどう違うのか、その「感触」を今なお探っている。FileNetは、基本的にウェブコンテンツマネジメントを事業の本流から追放した。そしてOpenTextは、買収したさまざまなコンテンツマネジメント企業を消化するのに、今しばらく時間がかかりそうだ。
誤解のないように明記しておくが、最後の3社は、販売市場でも株式市場でも非常に好成績を上げた。多くは、他の企業コンテンツマネジメント製品に助けられた格好だ。大手ベンダーはすべて、イメージングやビジネスプロセス・マネジメントの分野で大きな契約が生まれるマーケットに臨んでいる。しかし、いくらかの例外を除いて、バイヤーはすでに、ウェブコンテンツマネジメントは状況依存度が高く、部門ごとの活動と言えることから、安価でシンプルなソリューションでなければ買わないと結論しているように見える。
トレンド4:シンプルへの回帰
事実、最近はほぼすべてのCMSベンダーが、「直観的」で「使うのが簡単」という製品説明に終始している。しかし、さまざまな企業がさまざまな利用法の筋書きを実現しようとするなか、ユーザビリティは引き続き、コンテンツのオーサーとエディターの関心時となっている。
こうしたなか、ひとつのトレンドが浮かび上がりつつある。バイヤーはシンプルなものを探している、というトレンドだ。インストールが簡単で、カスタマイズが簡単、そして使うのが簡単なソリューションだ。このトレンドが、ユーザ・インターフェースの点で何らかのモデルや標準機能のセットに集約されていくのかどうかは、今の段階ではまだ分からない。しかし明らかに、ベンダーとバイヤーは、スリムダウンを図っている。クリック数を減らし、アイコンを取り除き、新しいウィンドウを避け、サーバへのアクセスをなくし、まぬけなウィザードを排除し、といった動きだ。
この進化は、ウェブコンテンツマネジメントの業務を「ごく普通のビジネスユーザ」に移行できるのかどうか、できるとすればどうすれば効果的なのかを実験する、より大きな動きの一環と言っていいだろう。企業のなかには、考えるのを敢えてストップする企業も出はじめている。今年1年にわたって、我々はこの問題を重点的に取り上げていくので、ご期待いただきたい。
トレンド5:Internet Explorerを超えて
分散型オーサリングの実験は、事実、継続しており、そのなかで企業は、Internet Explorerをユニバーサルなブラウザに指定するという試みが失敗したことに気づきはじめている。非常に正当な理由から、従業員のなかにはMacを使いつづける者もいるし、また、分別を持ってWindowsにFireFoxをインストールした従業員もいる(Linuxについては言うまでもない)。WindowsとIEに特化したインターフェースを提供しているベンダーは、苦境に陥っている。
そして、いくつかのサプライヤは、これに応えはじめている。前回のこのコラムでは、一部のCMSベンダーがMacネイティブのインターフェースを開発している動きを取り上げたが、それと同様に、FireFoxのエクステンションを使ってFireFoxのためのカスタム・インターフェースを開発しているベンダーがいる(PaperThinなど)。我々が紹介する大手ベンダーのほぼすべてが、IE独自のDHTMLから手を引いたか、現在、ほかのものに置き換えつつあるのが現状だ。
トレンド6:レポジトリ検索
コンテンツ・レポジトリが大きくなり、内容も充実するのにつれて、バイヤーは、内部検索の機能に高い関心を寄せるようになってきた。CMSユーザは、ウェブビジターが必要とするのと同じぐらいか、さらにそれ以上の検索能力を必要としていることが分かっている。
そして、ベンダーのなかには、この点で追い上げをかけなければならないところもあった。InterWovenは、TeamSiteにようやく一部のVerity機能を追加したところだ。Percussionは、Convera RetrievalWareの1バージョンをバンドルするようになった。そしてIngeniuxは、オプションとしてXMLデータベースのIxiaSoftを埋め込むことによって、インデックス機能を改良、高速化している。
しかし、検索には複雑な側面が絡んでいる。大きなプロジェクトで正しい検索結果を得ようと思ったら、(直接的な統合とまではいかなくても)いくらかの調整やカスタマイゼーションが必要となる可能性が高いことは、覚えておかなければならない。レポジトリの検索機能を見る際、結果の妥当性に特別な注意を払うとともに、結果として表示されるコンテンツ・アイテムを使ってCMSのインターフェース内で何らかのアクションが取れるかどうかという「行動可能性」にも目を向ける必要があるだろう。
まとめ
マーケットのトレンドは、検証しているだけで面白い。しかし、我々がThe CMS Reportを執筆する目的は、読者であるソリューションのバイヤー候補者に役立つことにある。ある企業に適したソリューションが、必ずしも他の企業にもふさわしいとは言えない。このため我々は、それぞれのCMS製品を個別に検討する。今現在、パーフェクトなCMSは存在しないし、圧倒的なウェブコンテンツマネジメントのサプライヤもない。しかし、いくばくかの真剣な努力があれば、御社の独特な環境に合った良い選択肢が見つかるだろう。
2005年、みなさんに幸運が訪れますように。
本サイトに掲載しているCMS Watchの記事は、CMSWatch.comより許可を得て、翻訳・転載しているものです。
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