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CMS Watch : グローバルなCMSを選ぶ際の5つの基準

2005年2月24日 掲載

ロビン・ロイド(Lionbridge Technologies副社長)

記録的なペースで、グローバル企業がCMSを購入し、導入している。企業は、購買の意思決定を下す前に、提案されたソリューションのグローバル対応を考えなければならない時代だ。コンテンツのオーサーやマネジャー、パブリッシャーが言葉の壁やテクノロジーの壁のせいでCMSの恩恵を受けられないとなれば、企業はコンテンツに対する投資から完全な見返りを得られないことになりかねないからだ。

グローバル対応とは、コンテンツ・データベースが国際化されていて、どんな言語でもデータを蓄積できるようになっていることを単純に言うわけではない。真にグローバルなコンテンツマネジメントのソリューションとは、すべての重要なアプリケーションで多言語のインターフェースを提供し、パッケージの状態でローカライゼーションに独特なワークフローを可能にし、サポートしているすべてのオーサリング・ツールに言語や地域といったメニューを統合し、さらに、ベースとなっているメタデータの構造でも言語や地域の違いを考慮しているものでなければならない。

パーフェクトなグローバルCMSというのは、今のところ登場していない。しかし、多くのCMSベンダーは、多言語コンテンツの効果的なマネジメントをサポートすることが証明されている他のグローバル機能を追加することによって、この分野で大きな前進を遂げてきた。

自社のグローバルなコンテンツ・ニーズを分析するにあたって考えるべき、5つのキーポイントを以下に挙げていこう。

  1. CMSとCMSがサポートしているデータベースが、すべて完全に国際化されているだろうか? 国際化については、2〜3と言わずそれ以上の質問を、手始めに問いかけておくべきだろう。これは、ベンダーの説明を聞くよりも前に確認すべきことかもしれない。一般的なシステムで使われるすべてのコンポーネントが、本当にマルチバイトの文字を受け付けるのだろうか。ベンダーのなかには、完全に国際標準に準拠していると言いながら、中核となるコンテンツ・レポジトリにしかそれが当てはまっていない場合もある。
  2. 言語や地域によってコンテンツにタグを付ける機能があるだろうか? 理想的には、コンテンツのライフサイクルのなるべく早い段階で、コンテンツのオーサーが言語(例えばポルトガル語)と地域(例えばブラジル)の要件を選択できるシステムであることが望ましい。これによって、ローカライゼーションや多言語パブリッシングのステップは、最初から統合されることになるからだ。
    また、ライフサイクルの初期であれ後期であれ、任意のオブジェクトやファイルに言語や地域を反映したメタデータ・クラスを作成して適用する機能は必要になるだろう。主なCMSはほとんどが、ある程度の拡張属性を作成して、ユーザーの必要に応じてカスタマイズしたオブジェクト・クラスを作れるような仕組みを提供している。しかし、時間を割いてこれを自分でやるか、システム・インテグレータにお金を払ってやってもらわないかぎり、最終的には、グローバルなオブジェクト・モデルをネイティブで提供しているCMSがほしくなるだろう。つまり、言語と地域の両方でコンテンツを特定し、タグを付けられるCMSだ。
  3. ソース言語のコンテンツと翻訳されたコンテンツをリンクさせる機能があるだろうか? 会社が大量のコンテンツをローカライズしていくにつれて、コンテンツマネジメントのソリューションがソース言語のコンテンツとローカライズされたバージョンの間のリンクを確立して保守できるかどうかが重要になってくる。多くの場合、オブジェクトやファイル間、さらにはそれらの反復の間で親と子の関係を築くことによって、対処できるだろう。これにより、同期パブリッシング(例えば、製品の世界同時リリースなど)とグローバルなバージョン・コントロールが可能になる。
  4. 翻訳ベンダーを使っているのであれば、そのベンダーが、御社のコンテンツマネジメント環境に馴染んでいるだろうか? この質問は、翻訳ベンダーを選ぶにあたってより重要になってくるように聞こえるかもしれない。そして事実、そのとおりである。究極的には、CMSに対してコンテンツを出し入れする簡単なメカニズムを提供するのは、翻訳ベンダーの責任になる。翻訳ベンダーは、御社のCMSのコンテンツ分類法やオブジェクト・モデルに関しても、十分な知識を持っていなければならない。これにより、翻訳プロセス全般にわたって、分類法やオブジェクト・モデルがきちんと維持されるようにするためだ。しかし、これらの要件を、CMSを選ぶ段階で考慮するのも大事と言える。あまり知られていない製品や分かりにくい製品を選んでしまうと、それに対して知識のある翻訳ベンダーや、翻訳プロセスをそのシステムに統合できる翻訳ベンダーを探すのが困難になるからだ。
  5. システムのワークフローは、翻訳プロセスに対応できるだろうか? CMSは、さまざまな変数によって評価されるものだが、とはいえ、頑強でフレキシブルなワークフロー・エンジンは、必須の要件だろう。適切な翻訳ベンダーを使うことによって、プロジェクト・マネジメントの必要性は最小限に抑えられるが、そうは言っても、ワークフローが、コンテンツのライフサイクルにおけるすべての翻訳プロセスを理解しなければならないからだ。各国の当事者によってコンテンツを確認しレビューするサイクルにもワークフローが対応し、翻訳されたコンテンツをオリジナルのローカル・コンテンツと合わせるためのフレームワークも提供していることが重要だ。

これらの重要な質問は、コンテンツマネジメント・ソリューションのグローバル対応を評価する作業で役立つだろう。しかし、この能力を評価するうえで同じくらい重要なのは、言語マネジメント・ツールやグローバライゼーション技術を、いつの時点で、またどのように利用するかを決めることだ。優れたコンテンツマネジメント・ソリューションは、最新の言語マネジメント技術を利用したものとなるだろう。これには、翻訳メモリや専門用語マネジメント、そのほか人間による翻訳の効率と精度を高めるツールがある。事実、言語マネジメント技術は、翻訳コストを最大30%も抑えながら、翻訳物のクオリティーを確実にすることができる。

コンテンツマネジメント・ソリューションは、これらの技術を利用しなければならない一方で、企業のなかには、言語マネジメント技術を自社のファイアーウォールの内側に置かないことを好む企業もある。ファイアーウォールの内側にこれを置けば、直接管理しなければならないツールをまたひとつ、増やすことになるからだ。

この技術問題に対処する一般的なアプローチがひとつある。ファイアーウォールの外側にある言語マネジメント技術を利用しながら、付加的な技術を買わなくても多言語コンテンツマネジメントを可能にする方法だ。このアプローチでは、コンテンツ・レポジトリと外部のローカライゼーション・ベンダーの間に軽いコネクタを導入し、これによって、関連するすべての言語マネジメント技術をホストするという方法を取る。

グローバル対応は、CMS選びにあたって重要な要因となる。多くの企業において、コンテンツマネジメントは、知識勝負型の効率的な組織に生まれ変わる戦略の重要な「背骨」と位置づけられるようになってきた。グローバルな企業にとって、CMSが世界中にいるすべてのユーザーのニーズに対応することは、欠かせない条件となっている。そうでなければ、今日の経済が要求するROI(投資収益率)を達成することはできないからだ。

重要な基準に従ってCMSソリューションのグローバル対応を評価すること、グローバライゼーションの賢いアプローチを選択することは、効率的で効果的なコンテンツマネジメントを現実のものにするための第一歩となる。幸運にも、多くの大手CMSベンダーがこのニーズをすでに認識しており、知識のある顧客は、真にグローバルなコンテンツマネジメントを実現する製品とサービスの最適なコンビネーションを見つけられるようになっている。

ロビン・ロイドは、グローバライゼーションとローカライゼーションのソリューションを提供するLionbridge Technologies で、アライアンス&チャネル開発担当の副社長を務めている。

この記事の原文「5 Criteria for Selecting a Global CMS」は、2002年5月22日、「cmswatch.com」に掲載された。

本サイトに掲載しているCMS Watchの記事は、CMSWatch.comより許可を得て、翻訳・転載しているものです。

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