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CMライフサイクルの7つのステージ
2006年3月31日 掲載
コンテンツマネジメントの書籍や記事、組織などがコンテンツマネジメントについて説明する際、必ずといっていいほどコンテンツマネジメントのライフサイクルやステージ(発達段階)を用いた説明をする。細かい違いはあるにせよ、このステージ(発達段階)という概念は一般的に受け容れられており、CMにこれから投資しようとするならば、この概念をしっかり把握しておく必要があるだろう。
ボブ・ボイコ氏著の「Content Management Bible」とゲリー・マクガバン氏著の「Content Critical」はこの段階を三つに分けている。ジョアン・ハッコ氏は「Content Management for Dynamic Web Delivery」でこの段階は四つに分けられると主張している。さらにアン・ロッキー氏は「Enterprise Content Management」という著書及び AIIM(The Enterprise Content Management Association)の人気ポスターの中では、コンテンツマネジメントには五段階のステージがあると主張している。また驚いたことに、私と同じく EContent マガジンの寄稿編集者であるトニー・バーン氏はステージはたった二つであると CMSReport の中で提示している。
第一段階については、「オーサリング」(Authoring)、「キャプチャー」(Capture)、「コレクション」(Collection)、「クリエイション」(Creation)、「プロダクション」(Production)なといった呼び方は違うにせよ、その過程についての皆の意見は一致しているようだ。さらに最後の段階についても納品(Delivery)または出版(Publishing)という点で一致している。
意見が食い違い始めるのは、この最初と最後のステージの間におけるプロセスにおいてである。しかしまたそれとは別に、彼らは第一段階のステージにいきつく以前のあるプロセスを完全に見落としているのである。このプロセスの必要性には気がついているようだが、これをコンテンツマネジメントの変化過程の中の一段階とは見なしていないのである。
偉大なる心理学者ジョージ・A・ミラー氏の最も重要な人間の情報処理機能の限度の教えである「7±2」の法則に基づき、コンテンツマネジメントの変化過程の「7±2段階」を皆さんに紹介したい。この段階は個人個人の必要に応じて五段階にも9段階にも対応することができる。
オーガナイゼーション/情報アーキテクチャ/ユーザーセンタード・デザイン
一般的に使われている情報源に常に不足しているのは、情報のオーガナイゼーションと構造化のステージである。例えば、任意のメタデータを情報の要素へ追加させるのを可能にする XML や RDF 使用等だ。これが知識管理者にとってデータや情報を知識に変換する作業の鍵を握っているのだ。この作業は情報を様々な形で回復するのを可能にし、再利用または別の目的に利用することをも可能にする。
カテゴリーが作られ、語彙の管理がされ、分類階層が設定され、そしてファセット分類体制が発展されていくといった作業が行われるのがこのステージだ。厳密な構成なしではでたらめな情報を収集してしまったり、情報が間違った場所で処理されてしまうことがある。こういった状況下では再利用のために重要な情報がクライアントの手に渡ることができなくなってしまうのだ。さらに最も重要なのは、この段階では自らのコンテンツ方策をユーザーのニーズに答えられる様に再設計をし、ビジネス方策と釣り合った物にしていくというプロセスが行われるということだ。
創作/取り込み/取得/集合
このステージではテクニカルライターによってシステム上に書かれた情報、またはウェッブ上のコネクターサービスを通し特別のプログラムを使って取得された多量のデータを第一段階で作られた構成上のカテゴリーに分類していく。
保管/貯蔵所
あなたのコンテンツは、関連しているデータベース構成上、ファイルシステム対象物の中、またはこの二つ両方など、どこに存在しているのだろうか?これらの情報は構造化されていないテキストの状態で、または二値画像として、それとも XML 要素を第一段階で処理したメタデータと共に保存されているのだろうか?使われているシステムは物質的に原型のままで管理することができるのだろうか?
ワークフロー/役割/編集者/臨時投稿者
コンテンツを作り上げるにあたって、熟練された編集者やグラフィックアーティスト、または各分野の専門家や自分のビジネスの過程に必要な知識の持ち主などたくさんの人の手を借りることになる。この人間関係の管理を成功させるためには作業を円滑に進めるための柔軟なルールを作らなければならない。またこのルールは、自分の業務必要条件や業務上の規則、そして自分の方針や手順にあったものにしなければならない。
バージョニング/バージョン管理/テンプレート
コンテンツは常に変更されるし、プレゼンテーションだって同じだ。一つの書類上の変更を同時に複数の人間ができるわけではないので、変更に関する意見の食い違いなどをうまく解決しながら、エラーが起きたときは、コンテンツを見直す心掛けが必要である。
出版/納品/マルチチャンネル/ユーザー・テスティング/ユーザーエクスペリエンス
出来上がったコンテンツは色々な形でユーザーの所へ届けられてゆく。使い方もユーザーによって様々な違いがあり、毎日必要とされることもあれば、必要な時だけ使われる場合もある。さらにウェブやメールを使って閲覧されることもあれば PDA や携帯等のモバイル機器で閲覧されることもある。出来上がったコンテンツは様々なアクセスの手段に対応しなければならない。そこでこれら全ての手段に第一段階で準備された質の高いユーザー体験という必要条件を満たしているかを判断するテストしなければいけない。
アーカイブ/保持/保存/破壊
コンテンツを出版することがおそらく最終ゴールと見なされるがちだろうが、コンテンツは出版されないからといって、その日限りで終わるわけではない。ものによっては、内外部の条件に従い、保護する必要があったり、場合によってはコンテンツを破棄しなくてはならない。なかには本当に貴重なコンテンツにも出会うだろう。そういったコンテンツはあなた自身の記憶に刻みこまなければならないほどの財産となる。あなたの帰属する組織にとって重要な業務知識として、幾世代もの従業員に伝え継がれていくべき情報である。このようなコンテンツは自分にとって永久の知識の基盤となるだろう。
つまり、これからのこの情報化時代の中で、自分にとってコンテンツが最も貴重な財産(商品)だという事実に気づき始めたならば、ぜひともこの「7±2段階」の法則に従って、自分自身の知識基盤の創作に取り込んでほしい。
この記事の原文「Seven Stages of the CM Lifecycle」は、2005年9月9日、「EContent」に掲載された。
本記事は、著作者の許可を得て、翻訳・転載しているものです。
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