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CMS はジャングル状態にある
2006年3月31日 掲載
コンテンツマネジメントシステム業界は、まるでジャングルのようにごちゃごちゃとしている。私は過去2年間、ボストンで開催されるギルベイン会議に出席し、Google directory、Business.com、Yahoo! Portal といったさまざまなオンラインディレクトリに掲載されている CMS の数について報告してきた。これらのディレクトリには、1000を優に超え、2000にも到達しうる数のシステムが掲載されている。私自身、数百に上る CMS の入力を、DMOZ オープンディレクトリー・プロジェクト(各種サブカテゴリーに1000以上の掲載数)や、私の運営する CMS Review(2、300の掲載数)で行った。
今年私は、CM Professionals 団体と私たちが取り組んでいる CMS の記述・評価を助けるマークアップ言語(CMSML)に対して全体像を提供するために、最も包括的な CMS の調査を行った。私は、世界中のオンライン CMS ディレクトリを20以上確認した。総計で、3400以上の CMS へのリンクが含まれる。私はまずマスターファイルにすべてを取り込み、重複を削除する作業を行った。(もしこれらのディレクトリが完璧であれば、すべてが重複することになる。)これには、目と手を使った作業が多く必要とされた。例えば Flexcmp は FlexCMS のスペルミスではなく、ImmediaC は Immediacy とは異なることを確認するためだ。全ての重複を削除できていないことは確かである。特に、多くの企業が買収され、製品が改名されているからだ。さらに、確認された CMS の多くは、この不安定な時勢に市場からすでに姿を消しているかもしれず、私のカウント数は過大な見積もりになっているだろう。
また、私がここでカウントした CMS の数は過少評価である可能性もある。なぜなら、すべての CMS が特定されていないことは確かだからだ。実際、複数の供給メーカー(ベンダー)が、ウェブディレクトリに掲載されたくない旨の文書を私に送ってきた。これらの会社は、コンサルティングと開発サービスのみを市場に出し、後になって初めて、自らが開発した「コンサルティングウェア」ツールをソリューションの一部として顧客に明かすのである。 CMS の合計数のカウントがかなりの過少評価になる他の理由は、膨大な数の組織が独自のシステムを構築していることである。 Apache Cocoon(アパッチコクーン)、Zope などの CMS フレームワークを用いたり、さらには ASP.NET、ColdFusion、Perl、PHP 等を用いてゼロから構築されている。私の推定では、最近の RFP(提案依頼書)の約半分では、XML のような新生の CMS 標準に対応するものに移植しようとする過程で、現在のシステムを自家製のものと記述していると思われる。
では、これらすべての免責事項を踏まえた上で、CMS のジャングルの中には、どれだけの数の CMS が潜んでいると言えるだろうか。2005年9月現在での合計数は1879である。実際のデータを見たい人は、私にメールをくれれば、集計表をお送りしよう。私のデータの中にあなたのお気に入りの CMS が入っているかを確認することもできるし、もしあなたが、現在 CMS を設計中の数千人のうちの一人であれば、よい会社名を選ぶのにリストが役立つかもしれない。仕事の成果が実用されるのは私にとっても大変嬉しいことだ。
CMS を選ぶにあたって、数えきれないほどの選択肢が存在する中、いったいどうすれば利口な選択ができるのだろうか、と思うかもしれない。とりあえず適当に CMS ディレクトリを選べば、手始めとしてのリストを手に入れられると思うかもしれないが、それは間違いだ。 Google には数百の CMS が掲載されている。これに対し、Yahoo! には200程度しかない。問題はここだ。 Yahoo! に掲載された CMS のうちの89は、Google や他の CMS リストには載っていない。 Buiness.com に掲載された84の CMS のうち、41は他のリストには載っていないのである。これらのディレクトリは総合的なリソースと呼ぶにはほど遠いと認めよう。しかしもっと重要なのは、これらのディレクトリは CMS を特定する方法を本当にわかっているのだろうか、ということだ。あなたはわかっているだろうか。
CMS の重要な特徴をつきとめるのを助けるため、これらのオンラインディレクトリのうち3つ(CMS Matrix、CMS Review、および Hartman Communicatie)は特徴に基づいて CMS をズバリ比較できる機能を備えている。私の調査の一部として、各ディレクトリの CMS の特徴を比較するための集計表を作成した。ワークフローやバージョニング(複数ユーザーによる編集機能)といった特徴のおそらく半分には、かなりの一致が見られたが、驚くべき数の違いも存在した。現在私たちは、CMSML プロジェクト(CM Pros、CMS Review、オランダの Hartman との合同プロジェクトとなる)のためのマスター・リストを編集している。このリストも興味のある読者には、喜んでメールで提供しよう。(こちらのサイトで CMS ディレクトリ の完全リストが閲覧できる。www.cmsreview.com/resources/directories.html)
もしも、あなたが新しい CMS の選択という長くて険しい道を歩き始めているなら、これほど選択肢が多いということを聞いて、怯えてしまうかもしれない。しかし、考慮に入れる数を減らすための方法がいくつかある。まず、供給メーカー(ベンダー)やデベロッパー(開発者)が地理的に近く、よいサポートが受けられことを確認することだ。また、サポートがオンラインで行われるなら、コミュニティサポート・オプションに参加して、議論がオープンで役立つものかどうかを確かめてみよう。しかし、最も重要なのは、CMS の選択はジャングルのようであり、生きて帰るためにはベテランのガイドが必要かもしれないことに気づくことだ。
この記事の原文「Where the Wild CMSs Are!」は、「EContent」2005年12月号に掲載された。
本記事は、著作者の許可を得て、翻訳・転載しているものです。
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