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CMS Watch:「営業の嘘」トップ10 /セックスと嘘と CMS ベンダー

2006年4月 8日 掲載

市場が形成されて11年以上になるというのに、CMS 技術は、いまだに有望な見込み顧客の多くに、よく理解されないままでいる。その間にも、サプライヤーの合戦の場は、かつてないほど拡大し、動きも激しくなってきた。私が知っている CMS 営業マン・営業ウーマンのほとんどは、良き教育者だ。しかし同時に、彼らにも達成しなければならないノルマがある。このため、ベンダーは時として、機能や価格についての大事な説明を端折って、シンプルではあるが必ずしも完全なる真実とは言えない答えで済ませることがある。

というわけで、今回は、セールスの過程で使われがちな、10個の「嘘」をリストにしてみよう。私の祖母がよく言っていたように、備えあれば憂いなし、というわけだ。

「当社のインターフェースは、説明の必要がありません」(これは「セックス」の部分)

CMS の営業マンは、しばしば、製品インターフェースのユーザビリティを買いかぶって説明する。しゃれたコンテンツ提出ウィザードやセクシーな Word 変換画面を見せられて購買欲をかきたてられたものの、いざ導入してみると、エディターたちの「これはいったい何なんだ!」という悲鳴に遭うかもしれない。1人のコンテンツ作成者にとっては簡単なことが、別のコンテンツ作成者にとっては難しい、ということもあり得る。経験豊富な CMS 営業マンなら、インターフェースを変更するのがどれだけ簡単かを説明してくれるだろう。実際、ほとんどの購入顧客には、それが必要になるからだ。

「初期導入費用は、たったのXドルです」

世界のどこでも、営業マンというのは、エントリーレベルの価格を見せて、見込み客を魅了しようとするものだ。それは CMS の世界でもまったく同じだ。製品のコストが CPU 1基につき2万5000ドルだとしたら、営業マンは、その価格を提示するだろう。しかし、CPU 1基のサーバなど、実際の現場では遅くてもたつくばかりだ。私自身、Interwoven のような大手ベンダーが、大企業の顧客に対して、ウェブコンテンツ・マネジメントを最低12万5000ドルで始められると説明するのを耳にしてきた。技術的には、それは正しいかもしれない。しかし、仕事を正しくやり遂げようと思ったら、それなりの値段を払わなければならないのが、物事の常だ。自社のプロジェクトの規模に合った、現実的な2年計画の予算を設定しよう。

「ウェブ管理チームをほかの仕事に回せるので、ソフトウェアのコストは回収できます」

残念ながら、CMS 自体を走らせるのに、やっぱりウェブチームは必要になるだろう。確かに、チームの業務効率は高まる。それに、もしも今まで HTML の作業部分を外部に発注してきたとしたら、この部分で確実にコストは削減できる。ウェブコンテンツ・マネジメントに事業経営上のメリットがあるのは真実だ。しかし、それがバランスシートのコスト側に来るということは、ほとんどない。

「当社のソリューションはオープンソースですから、コストが安くて済みます」「当社の商用ソリューションならば、オープンソース製品よりも確実なサポートが見込めます」

これは、同じ嘘の両面と言えるだろう。長い目で見れば、ライセンス料が TCO(総所有コスト)に占める割合は、徐々に小さくなっていく。真に大きなコストは、カスタマイゼーションと統合から発生する。そして、この部分では、オープンソース・ツールのほうが商用ツールよりも高くつくこともある。

同時に、一般的な商用 CMS のサポートは、グローバルな大規模オープンソース・プロジェクトのコミュニティから得られるサポートに比べると、劣っていることが分かるだろう。ここでのキーワードは、「大規模」であることだ。

「ソースコードへのアクセスが提供されますから、将来、市場に変化があっても安心です」

ソースコードの保証やオープンソース・ライセンシングは、あって悪いものではない。しかし、ベンダーがいなくなってしった段階でソースコードと格闘しなければならないとしたら、それは吹けば飛ぶような慰めでしかない。CMS の市場は、驚くほど安定している。とはいえ、不確かな時代にあって最も頼りになるのは、大規模で活発なユーザーのコミュニティだ。そして、こうしたコミュニティがあると誇れるのは、商用製品とオープンソース・プロジェクトのなかでも、少数しかない。

「要件が決まっていないとしても、まったく問題はありません。当社のアナリストが最初の部分をお手伝いします」

自社のシステム要件をまだ考え抜いていないのであれば、CMS 導入を成功させるなどという域には達していない。もちろん、CMS ベンダーは多くの場合、優秀な(時にはきわめて優秀な)アナリストを社内に抱えている。しかし、こうしたベンダー側のアナリストは、ソリューションをなるべく短期間で立ち上げることに重点を置いていて、顧客が最適な状態でコンテンツをマネージしているかどうかを確認するのは、後回しにする傾向がある。また、ベンダー側のアナリストは、顧客にとって耳の痛い重要な真実を、決して指摘しないだろう。それは、顧客の会社の本当の問題は、CMS では解決されない、という真実だ。

「ほとんどの企業では、当社のソリューションを4〜6週間で立ち上げています」

ほとんどの企業は、1年がかりで本格的な CMS を導入している。もちろん、小規模なプロジェクトや部門内のパイロットぐらいなら、比較的短期間で済むが、それでも3〜4カ月といったところだろう。実際、究極のプログラミング法では、大規模なITプロジェクトを一口サイズに小分けすることが重要だと訴えている。だから、4〜6週間ごとに短期目標を設定しよう。ただし、それが何回も来ることをお忘れなく。

「既存のコンテンツについては、当社の移設スクリプトがあるから大丈夫です」

ゴミを入れれば、ゴミが出てくる。移設の苦労を減らすベストの方法は、今あるコンテンツの整理を始めることだ。

「当社の製品は Vignette よりも優れていますし、コストもはるかに安く上がります」

規模の小さい CMS ベンダーは、なぜ必ず Vignette と比較するのか? 実際、市場には引き合いに出される製品というものがある。Vignette をはじめとするいくつかの製品は、大きくて複雑な問題を解決するために作られている。CMS の世界では、シンプルで安価なソリューションで済んだところなのに、買い手が大きな製品に余分な金を費やしてしまうということは、しばしばある。そして、Vignette もそうした製品のひとつだ。しかし、小規模な CMS ベンダーは、時として、大企業の全部門にわたってウェブパブリッシングを自動化するのがいかに難しいかを、過小評価している。そのことを彼らに教えてやる立場になろうというのなら、リスクは自分で背負うことだ。

「この機能を持ったソリューションは、当社の製品以外にありません」

世界の CMS 市場には、2000社以上のベンダーがいる。革新的な技術は、すぐに真似される。CMS Report をお読みになった方ならご存じかもしれないが、ウェブコンテンツ・マネジメントのソリューションは、どんな機能があるかよりもむしろ、得意とするアプリケーションのシナリオにおいてどのように機能するかで勝負している。

もちろん、CMS 選びの根本にある問題は、早口にまくしたてる営業マンではなく、無知な買い手のほうだ。自社の独自のニーズと市場の状況について、まずは知識を付けよう。そうすれば、セールスの過程でどんな大ボラ吹きがやって来ても、準備は万端だ。

トニー・バーンは、特定のベンダーに偏らない中立的な立場から技術分析を手がける CMS Watch の設立者兼エディター。世界の主要企業や政府機関を顧客に持ち、正しいコンテンツ技術を選び、導入するうえでのコンサルティングも提供している。かつては記者、パブリッシャー、および国際的な教育者としても活躍し、16年のインターネット歴を持つこの道のベテランでもある。また、インターネット・コンサルティング会社のエンジニア・プロダクション部門を統括した経験も持っている。自ら著した The CMS Report のほか、発行人となった Enterprise Search ReportRecords Management Report はすべて、cmswatch.comサイトで販売されている。

この記事の原文「 Sex, Lies, and CMS Vendors 」は、2006年3月20日、「cmswatch.com」に掲載された。

本サイトに掲載している CMS Watch の記事は、CMSWatch.com より許可を得て、翻訳・転載しているものです。

CMSWatch.com は、ウェブ・コンテンツマネジメントおよびエンタープライズ・コンテンツマネジメント・ソリューションについて、ベンダーから完全に経済的独立をした形で、利用者の立場に立って、独自の情報やトレンド、意見、評価を提供しているサイトです。

CMS Watch はまた、最新の CMS 関連の製品分析やアドバイスが掲載されている The CMS Report の販売(無料サンプルあり)もしています。
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