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CMS Watch:ECM、WCM、ポータル /必要なのはECMS、WCMS、それともポータル?
2007年11月 9日 掲載
The CMS Reportの第7版がこのほど完成した。そこで今回は、ウェブコンテンツマネジメントのマーケット事情をあらためておさらいしてみよう。
すべてのコンテンツ技術群の間にある境界線は、きわめて曖昧なことで知られている。時として、区別がつかなくなるものだ。
これは特に、
- ポータル
- エンタープライズ・コンテンツマネジメント(ECM)
- ウェブ・コンテンツマネジメント(WCM)
の間で顕著なように見える。実際、この3者間では、ベンダーや製品の機能、うたい文句に多くの重複が見られる。例えば、イントラネット・ベースのドキュメント管理を探している企業の場合、理論的にはこの3種の製品のどれを使っても大丈夫だろう。コンサルタント会社のなかには、3つのタイプのソリューションをすべて売りつけて、統合プロジェクトを強制しようとする会社すらある。
私たちが強くお薦めしているのは、最も重要なニーズを解決するビジネス・アプローチを選ぶことだ。ビジネス上の課題と機会をコアのコアまで突き詰めたうえで、そこから構築していくことだ。現実には、この3つの製品タイプは、それぞれに異なる機能を持ち、異なる問題に対処する傾向がある。自分が何を達成したいのかを理解することによって、必要な技術、あるいは必要でない技術がよく分かるようになるだろう。私たちがリサーチする際にシナリオに基づいたアプローチを取っているのは、まさにこのためだ(WCM[cmswatch.com]とポータル[cmswatch.com]など)。
3つのシナリオ
私たちが様々な技術評価のレポート[cmswatch.com]でベンダーをレビューする際に使っているシナリオを、手短に紹介しよう。
ご覧のとおり、WCMのシナリオは、基本的にパブリッシングのシナリオだ。要件を決めるにあたって大きな役割を果たすのは、パブリッシュするするウェブサイトのタイプである。そして、そのタイプによって様々なベンダーの適正も分けられる。同様に、ポータルにも、ビジネス上の異なる目的を達成しようとする異なるポータルがある。一方ECMでは、想像できるかもしれないが、シナリオがよりプロセス志向になる。またECMの世界では、業界の違いが大きくものを言い、これもやはりプロセス志向のせいだが、ずっと業界に特化した内容になる傾向がある。
重複するシナリオ
当然ながら、シナリオも重複している。「コミュニティ志向」のサイトで強みを発揮するWCMツールは、いわゆる「コラボレーション・ポータル」とかなり似て見え、ゆえにECMの世界では「ワークグループ・コラボレーション」と呼ばれるものに当てはまるだろう。
となると、次のような疑問が挙がるのもうなずける。「グローバル・イントラネット」(WCM)と「エンタープライズ・イントラネット」(ポータル)、そして「エンタープライズ・ウェブ・パブリッシング」(ECM)の違いは、本当のところどこにあるのか? 実のところ、その違いはほとんどないのかもしれない。とはいえ、ツールが違えば問題へのアプローチ方法も異なってくることは、知っておくべきだろう。例えばWCMソリューションは、従業員にとって使いやすい編集インターフェースを伴い、半構造化コンテンツおよびドキュメントを強調する可能性が高い。イントラネット・ポータルは、インタラクティブ・アプリケーション(例えば、人を検索するポートレット)やその他のサービスに機能を集中させているだろう。そして、ECM製品は、イントラネットから独自のドキュメント管理リポジトリやレコード管理リポジトリに向かうネイティブの機能をもたらす傾向にある。皮肉なことに、私たちがリサーチしたかぎりでは、エンタープライズ分野を主に手がけるベンダーは、大規模なエンタープライズでよく見られるマルチ・ウェブサイトの管理シナリオにおいて、あまり優れていない。ただ、これは、今回の記事では余談だ。いずれにしても、要点はお分かりいただけるだろう。各ツール群には重複があるものの、それぞれ異なる視点から同じ市場に集まってきている可能性が高いということだ。
もしかするとさらに重要な点は、シナリオに基づいた分析をすることによって、「追求すべきではない」製品のタイプが分かることかもしれない。例えば、WCMツールがスキャンしたドキュメントをリポジトリに保存できるからといって、大量の画像に使うべきではない。また、ほとんどのECM製品は、カスタマー向けセルフサービス型ポータルのプラットフォームとするには適していない確率が高い。そして、ポータルソフトを使って超大型の単一サイトを運営することはまずないだろうといったことだ。
確かに、ベンダーは異なるタイプの問題に対して、同じ製品を売ることがある。そして、それが理にかなっていることもある。MOSS 2007[cmswatch.com]の宣伝文句(そして大きな苛立ちのタネ)は、程度こそ異なるものの3つの分野のすべてで理論上は機能し得るという点だった。しかし、他社と同様、マイクロソフトには独自のやり方がある。SharePointを1件インストールしただけでは、同時に多数の役割をこなしてはくれない(「エンタープライズ・サーチ」や「コンテンツ・コンポーネント管理」については、今回はあまり言及しないが、この分野で今後私たちが発表する予定のリサーチ結果によると、さらに多くの重複点と差別化点が確認されている。これについては、乞うご期待!)。
すべきことは何か
ツールを探している方であれば、おそらく間違いなく、ベンダーによって言うことが違うのに気付いたことだろう(コンサルタント会社の多く、そしてアナリストの一部も、このなかに含まれる)。例えば、競馬になぞらえてソリューションの違いを説明しようとするベンダーがいる。「トップを走っているのは誰か」という、必ず出る質問に答えるためだ。これに対しては逆に「『何において』トップなのか?」と問い返すべきだろう。「どのレースの話をしているのか」と。過去12年間で私が学んだことがあるとすれば、シナリオが異なれば適した製品も異なってくるということだ。
なかには、サイズに着目する人もいる。複雑なプラットフォームを有する大規模なベンダーは、小規模な競合製品にはスケーラビリティがないと言う。「大人の仕事に子供を送り込むな」という意味だ。これに対して、小規模なベンダーは「ハエを殺すのに大砲はいらない」と言う。確かに、サイズと拡張性は大事な要素であり、私たちのベンダー区分でも、通常、この要素を組み込んでいる。とはいえビジネスの観点からすれば、サイズに着目しすぎたがために、より重要な「適性」を見失ってしまう可能性がある。
問題は、ビジネス上の目標に合った製品を見つけることだ。それはまず、どのタイプの技術が最も短期的な価値をもたらすかを見極めることを意味する。次に、どのタイプのシナリオに対処したいのかを考えることによって、スイートスポットにはまるベンダーを選り分けていく。私たちが提示しているシナリオを使おうと使わなかろうと、それは大きな問題ではない。重要なのは、どのタイプのコンテンツによって何を達成したいのかというアウトラインを、慎重に組み立てることだ。この段階でのちょっとした分析作業によって、後で多くの費用と時間が節約できるだろう。
この記事の原文「Do you need an ECMS, WCMS, or a Portal?」は、2007年9月25日、「cmswatch.com」に掲載された。
本サイトに掲載している CMS Watch の記事は、CMSWatch.com より許可を得て、翻訳・転載しているものです。
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