本文へ

ここから本文です

『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド』刊行によせて

2007年12月 3日 掲載

『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド』の著者をはじめとする、DESIGN IT! の活動に関係の深い3名のキーパーソンから、本書に寄せられたメッセージやエピソードを抜粋してお伝えします。

「私が学んできたことを日本の読者と分かち合い、また皆さんから、私も多くのことを学ぶ機会が得られると思っている。」

ボブ・ボイコ氏 写真 ボブ・ボイコ
著者

"『Content Management Bible』(原書タイトル)の第2版が米国で販売されてから2年になろうとしている。この間、私は南極以外のすべての大陸を訪ね、より広範囲の情報マネジメントやコンテンツマネジメントに関して多くの人々と話す機会があったが、どの国でも膨大な情報とツール不足に同じ懸念を持っていることを耳にした。組織内の情報が飛躍的に増加する中で、その管理にあたるリソースは不足し、情報を真剣にとらえてもらうのは至難の業である。情報の提供者は整理に余計な労力をかけようとせず、経営者は情報が原動力になることを理解してはいても、それを得る方法については無知だといえるだろう。

日本では、あらゆる業界や産業でコンテンツマネジメントが検討されるようになっている。しかし、コンテンツマネジメントのコンセプトやメソッドが十分に理解されているわけではない。コンテンツマネジメント、ドキュメントマネジメント、ナレッジマネジメントや保存記録の管理などのさまざまな情報マネジメントは、密接に関連しているにもかかわらず複数ベンダーが関わることで複雑になり、解決策を必要とする組織にも十分に理解されていない状態なのだ。

これらの問題の解決に、あなたがこれから読まれる本書が役立つものとなるよう願っている。私はここで、20年以上にわたる情報の収集、整理、配信から学んだ教訓を皆さんにお伝えし、コンテンツマネジメントのコンセプトと実践方法の両方を提示し、十分に考慮された万全な準備があれば、持っている情報から原動力を生み出せるということを示したいと思っている。

私が学んできたことを日本の読者と分かち合い、また皆さんが情報マネジメントで開拓してきたメソッドから私も多くのことを学ぶ機会が得られると思っている。素晴らしい日本の想像力とスピリットはこれからも価値ある情報を創造、管理、発行し続けていくことだろう。"

(本書 基本・計画編「日本語版刊行によせて」より抜粋)

「時間をかけて、この本をすべて一度は読み通してほしい。」

トニー・バーン氏 写真 トニー・バーン
CMS Watch.com 創設者

"過去3年にわたって、私は、世界各地で『Content Management Bible』(原書タイトル)の第1版を買ったという人に何十人と出会ってきた。その人たちの本はどれもみな、あちこちのページの角が折られて、明らかによく使い込まれていた。質の良いリファレンス本ならば必ずそうであるように、この本もまた、背後に驚くほど長い歴史を携えた複雑なトピックを、非常に深く探求しているからだ。 この本を書く著者として、ボブ・ボイコ以上の適任者は、私には思い当たらない。テクニカルマニュアルの専門家や CMS 導入責任者といった経歴を持ち、現在は CMS の戦略コンサルタントをしているボブだからこそ、説明やアドバイスに実践的な経験を混ぜ合わせて語ることができる。

本書は、まず最初に、コンテンツについての重要な議論から入っている。コンテンツとは何か、情報やデータとどう違うのか、なぜコンテンツを管理する必要があるのか。それからようやくプロセスへと踏み込み、具体的なテクノロジーへと話を進めていく。この段階的な取り組みこそが、CMS のプロジェクトに着手するにあたって重要だ。

すでに1つや2つの CMS を使っている人でも、大量に作られる電子情報のなかで浮かび上がってくる新しいトレンドのいくつかには、思わず立ち止まって考えさせられることだろう。

また、CMS をこれから導入するか、すでに導入済みかにかかわらず、この『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド』は、それらのコンテンツすべてを本当のビジネスゴールに結びつけていくにあたって、すばらしいガイド役になるだろう。 時間をかけて、この本をすべて一度は読み通してほしい。そして、読み終わってからも、常に離さず持っていてほしい。この本は、小さな「書」の集合体とも言える。それぞれのセクションが、コンテンツをうまく管理していこうと努力する道のりの随所で、役に立っていくだろう。"

(本書 基本・計画編「はしがき」より抜粋)

「いわば『世界標準の原典』に対し、一言一句取りこぼすことなくご紹介したい。」

篠原稔和 写真 篠原稔和
ソシオメディア株式会社 代表取締役/DESIGN IT! 主宰

"本書は、ボブ・ボイコ著『Content Management Bible, 2nd Edition』(2004 年発行)の全訳です。本書の原書となる版は、なんと 1,170 ページにも及んでいます。

当初、その分冊化の検討に際しては、原書タイトルの「バイブル」という名称に込められた網羅的な内容を1冊に統合して著された意味を考慮して、抜粋や要約を施しながら1冊としてご提供できないか、という案も浮上していました。しかし、これまで日本においてなかなか正しく理解されてこなかった「情報マネジメント」の考え方を詳細に解説した、いわば「世界標準の原典」に対し、一言一句取りこぼすことなく紹介したいという想いを優先し、著者が内容に込めた意図を正確に読み解いた上で、2冊のあらたな書籍として生まれ変わりました。

さて、本書を紹介するに至った経緯をご紹介します。そもそも著者のボブ・ボイコ氏との出会いは、 2003 年の秋に米国で開催された「ナレッジマネジメントとイントラネット」をテーマにしたカンファレンスに遡ります。当時、ウェブサイト上のドキュメントをいかに整理して表現していくか、といった「情報アーキテクチャ(Information Architecture)」という考え方を世界に向けて発信していたルイス・ローゼンフェルド氏[http://louisrosenfeld.com/]を通じ、カンファレンスのキーノート・スピーカーとして登壇していた著者との交流時間がセットされました。そこに登場した、長いブロンズの髪を後ろに束ね髭をたくわえた著者が、穏和な表情で情報マネジメントの神髄を力の漲った口調で一気に語る様子に、まさに「バイブル」を著した宗教者の姿を垣間みるかのような印象が残りました。 その後、ワシントン大学のラボを何度か訪れながら、本書の基本的な概念や考え方、事例などを理解していくうちに、本書を詳細に解析しながら日本でも紹介することの重要性に気づくことになります。それと同時に、これからの新しい技術と組織との関係や、それらをつなぐデザインの重要な役割を体系的に捉えながら実践していくこと、その基本となるテーマの1つに「コンテンツマネジメント」を据えること、といった発想につながっていきました。

本書が持つ効用を充分にお伝えするためには、書籍だけではなく、それらを補助する電子上の仕組みが必要と考え、DESIGN IT! のウェブサイト(www.designit.jp)にて、本書をサポートする企画を用意することにしています。是非、そちらも併用しながら本書をご活用ください。"

(本書 基本・計画編「監修者まえがき」より抜粋)


トラックバック

このページのトラックバックURL
http://www.designit.jp/mt/mt-tb.cgi/1137