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「DESIGN IT! Conference 2007」開催にあたって

2007年12月10日 掲載

篠原稔和 写真

DESIGN IT! 主宰
ソシオメディア株式会社・代表取締役

「DESIGN IT!」は、DESIGNとITとの力、そしてそれらの有機的な融合によって、時代に対応した組織や企業の変革を進めていくことを目指し、2005年に産声をあげました。DESIGNとITとの真の融合に向け、常に人やユーザーを中心においたアプローチを根幹に据えながら、さまざまな研究や実践での成果や知見を、カンファレンスをはじめとした各種活動を通して推進するための活動体です。2006年の「DESIGN IT! Conference 2006 Spring ― CMSにみるITデザインの可能性―」に続き、3年目の今回は「DESIGN IT! Conference 2007 ― コンテンツとインターフェースをマネージする。―」を掲げて開催いたします。

DESIGN IT! のテーマ構成

DESIGNとITとの有機的な融合を紐解いていくための領域として、6つのテーマ、すなわち、「コンテンツマネジメント、インタラクション、情報アーキテクチャ、ユーザビリティ、デザインマネジメント、ストラテジー」を、設定しました。「基調講演&テーマセッション」はこれらのテーマを理解するための位置づけで、各視点からのナビゲーターにふさわしいアイデアや考え方をお持ちの方、具体的な実践を行っている皆さんに参加を呼びかけてきました。「スポンサーセッション&展示会」はこれらテーマの力を発揮して「使いやすいIT」へと向上させるIT市場領域として、2005年より「CMS(コンテンツマネジメントシステム)」のマーケットを選定しています。CMS製品を提供しているベンダー企業の皆さま方からイベントへのご支援を頂戴するとともに、製品やソリューションの紹介と発表の場をお持ちいただいています。

コンテンツマネジメントのボブ氏による情報マネジメントの最先端

最初に、カンファレンスにおける基調講演とセッションについてご紹介します。本年は、海外より4つのテーマから4人のゲストを迎えることができました。まず、初日(11日)の皮切りとなる基調講演に登壇するボブ・ボイコ氏は、「コンテンツマネジメント」のナビゲーターとしてお招きしています。ボブ氏の代表的な著書である「Contents Management Bible」は、今回の来日に合わせて『コンテンツマネジメントパーフェクトガイド』という翻訳書籍として生まれ変わりました(DESIGN IT! ウェブサイトにて、本書のポイントをつかんでいただくための連載記事を掲載中)。ボブ氏には、オープニングの基調講演に加え、コンテンツマネジメントのカギを握る「メタデータ」のセッション(12日午後2)もお願いしています。

インタラクションのルーカス氏によるデザインパターン

初日二番目の基調講演では、米国Yahoo!のルーカス・ペティナティ氏が「インタラクションデザイン」からのナビゲーターとして登壇します。ルーカス氏は、ITデザインに関わる今年の大きな潮流である「デザインパターン」の実践者のひとりで、米国Yahoo!において、YUI (Yahoo!ユーザーインターフェースライブラリ)というオープンソースのコミュニティ活動を推進しています。今回の講演では、デザインパターンが開発チーム内における共通言語として機能する効用を中心に解説していただきます。

ユーザビリティのラリー氏による UCDメソッド

2日目(12日)の最初の基調講演に登壇するラリー・コンスタンティン氏は、「ユーザビリティ」のナビゲーターとしてお招きしました。ラリー氏は、ユーザビリティの手法をソフトウェアやウェブサイトを開発・構築するための方法論に統合する、UCD(ユーザー中心デザイン)の実践者として著名で、自らの方法論(Usage Centered Design)はソフトウェアの開発・設計の分野で幅広く活用されるなど、同分野を牽引する存在です。ラリー氏には、基調講演に加え、「使用法中心設計」といった方法論に関するセッション(11日午後2)をお願いしています。

デザインマネジメントのケビン氏によるデザインによるビジネス革新

続く2番目の基調講演では、米国IBMのケビン・クラーク氏が「デザインマネジメント」からのナビゲーターとして登壇します。ケビン氏は、ビジネスやマネジメントの領域にデザインの力を取り入れ、まさにデザインがビジネスのイノベーションを起こしていくことを、IBMといったグローバル企業で実践してきました。今回の講演では、ユーザーインターフェースの専門家たちが用いてきた方法論やツールを、ビジネス革新に使うための「デザイン思考」を中心に講演いただきます。

日本の気鋭の専門家によるセッションとパネル

これらの海外からのゲストによるナビゲーションに対して、国内の専門家たちのセッションが各テーマの視点を補強していきます。まず、「デザインマネジメント」の佐々木仰氏(11日午前)、「情報アーキテクチャ」の長谷川敦士氏(11日午後)、「コンテンツマネジメント」の渡辺泰氏(12日午前)、「ユーザビリティ」の樽本徹也氏(12日午後)、の皆さまです。皆さまには、各テーマの視点を踏まえつつ、実践者としての立場からのお話とともに、両日の夕方に行われる「パネルディスカッション」において、海外ゲストとともに、今年のテーマとして掲げている「コンテンツとユーザーインターフェースをマネージする。」に対する議論を繰り広げていただきます。

コンテンツマネジメントから現場事例の三連発

次に、国内外の実務者たちによるセッションについてご紹介します。まず、今年のテーマである「コンテンツとユーザーインターフェースをマネージする。」を解明していくための実践例として、「コンテンツマネジメント」のテーマから3つのセッションを紹介します。花王株式会社の本間充氏(11日午後1)、株式会社リラックス・コミュニケーションズの石川禅氏(12日午後1)、日本アムウェイ株式会社の清水誠氏(12日午後2)の3事例です。それぞれコンテンツマネジメントの考え方を基盤に置いた上で、CMSの有効な活用方法の取組みからあらたなコンテンツマネジメントの展開方法までを実践しておられます。

ストラテジーから4つのケーススタディ

また、さまざまなテーマを横断する形での実践事例をご紹介する「ストラテジー」からは、いずれも国内の取り組みを代表する先進事例が続きます。国立情報学研究所の蔵川圭氏には、インターネットやウェブによって劇的な変化を遂げつつある学術情報コミュニケーションについて(11日午後1)。株式会社東芝の廣田宏二氏には、コーポレートブランドを高めるための企業ウェブサイト戦略やグローバルサイトのルール作りについて(11日午後2)、株式会社内田洋行の近藤隆一氏・鈴木有吾氏には、ユーザー中心設計(UCD)からペルソナ法やシナリオ法を用いた製品開発の事例について(11日午後2)、三菱電機株式会社の粕谷俊彦氏には、サイト活性化のためのリニューアル施策とコーポレートサイトの再構築方法について、それぞれご紹介いただきます。

CMSベンダー殿によるセッションと展示会

一方で、ITをDESIGNするターゲットとして2005年より選定してきている「CMS(コンテンツマネジメントシステム)」のベンダー企業の皆さんによるセッションと展示会を進行します。ベンダー企業の皆さま方からのご講演には、ここ3年で大きな変化があります。2005年度のITベンダーの製品や考え方を紹介する発表、2006年度のソリューションを行うSIerや制作会社の視点からの発表と続き、本年は特にユーザー企業での導入事例に焦点をあてた内容となっています。

今年は、国内でCMS製品を販売するベンダー企業11社、ソリューション企業2社(2007年11月末時点)のご協賛を得て、プレゼンテーションは11社(うち2社は特別スポンサー)からの発表を準備していただいています。各社の事例を知るとともに、CMSソリューションの傾向や製品導入に向けた比較検討の機会となるに違いありません。同時に、昨年より開始した展示会では、7社(うち1社は特別スポンサー)のご参加を得て実施します。是非とも、スポンサーセッションと併せて、CMSベンダーの生の声を聞くことや情報収集の機会としてご活用ください。

ウェブテレビ会議システムとイベント管理システムの導入

ところで、DESIGN IT!では、今後、数多くの新しい試みを計画しています。そのひとつとして、複数のセッションからなるカンファレンスの内容を有効に活用すること、そして、遠隔地からでも講演の様子を視聴できるようにすること、といった目的から、株式会社ブイキューブ殿のウェブテレビ会議システムを活用させていただきます。システムの実演については、展示会場でも行う予定です。また、皆さま方のお申し込みをスムーズに行うために、株式会社シャノン殿のASPサービスを活用させていただき、皆さま方のご参加を滞りなく進められるように準備しました。その他の取り組みについても、カンファレンス当日以降、順次、発表して参ります。

最後に - Let's DESIGN IT! -

最後に、今回のカンファレンスも数多くの皆さまのご支援によって成立していることに対し、厚く御礼申し上げます。カンファレンス活動を支援してくださったスポンサー各社様、告知や宣伝において連携した国内・国外のメディア各社様、専門家コミュニティ各団体様、そして、何よりもこのDESIGN IT!に興味を持って参加してくださった皆さま方、ウェブサイトに訪れてくださった皆さま方、ありがとうございます。「さあ、情報技術をもっと使いやすくデザインしていきましょう!あらゆるデジタル環境をもっと快適にデザインしていきましょう! Let’s DESIGN IT!」


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