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ダン・サファー パーソナルサイト「O Danny Boy」:インタラクションデザインの定義

2008年7月 4日 掲載

Dan Saffer
Adaptive Path のインタラクションデザイナー、インタラクションデザイン修士、インタラクションデザイン協会(IxDA: Interaction Design Association)理事

インタラクションデザインの定義

原文: O Danny Boy [odannyboy.com]
投稿日: 2004年7月21日

先月から僕は、インタラクションデザイナー名が記された長いリストについての議論を始めた。そしてその議論は、インタラクションデザインの定義に関するものになった。その場でそれを議論するのは遠慮したほうがいいと考えたため、僕はここに自分の考えを整理して書き示し、僕自身によるインタラクションデザインの定義として捧げようと思う。

インタラクションデザインは、人と人(もしくは人間の代わりにあたるもの)の間に発生する「インタラクション(対話)」を促進するための技術であり、製品によって仲介されるものである。インタラクションがあるおかげで、電話のように一対一で行われるもの、ブログのように一対多数で行われるもの、株式市場のように多数対多数で行われるものといったコミュニケーションが発生することを意味している。インタラクションデザイナーが作り出す製品は、デジタルなものでもアナログなものでもありうるし、有形でも無形でもありうるし、これらの組み合わせでもありうる。

インタラクションデザインは、製品の振る舞い、つまり製品がどのように「機能するか」に関係している。この振る舞いの定義には充分時間をかけるべきだが、最終目標は人間同士のインタラクションの促進であるということを、インタラクションデザイナーは決して忘れてはならない。僕にしてみれば、これは製品とのインタラクションではなく(それは工業デザインの分野)、コンピュータとのインタラクションでもない(それはヒューマン‐コンピュータインタラクションの分野)。インタラクションデザインとは、人間同士のつながりを形成することなのである。

振る舞いや仲介物は常に変化するため、インタラクションデザインの分野は、これらのいずれかとして整理されるべきものではない。デジタルな装置類が生み出されてインターネットがどんどん広がっていくにつれ、この分野に対するニーズも大きくなってきた。そして、インタラクションデザイナーには新しいチャンスがどんどん増えてきている。しかし、ここがインタラクションデザイナーの才能を生かす唯一の場所ではないのだ。役に立つワークフローやシステムなどを作るためには、アナログな環境でもインタラクションデザイナーの才能を利用することはできるのである。インターネットやデジタル機器があらゆる場所に存在するようになるに従い、インタラクションデザインは、近いうちに我々の生活のあらゆる場面に関与していくことになるだろう。

インタラクションの存在理由を求めて製品の振る舞いに焦点を当てるということは、僕にとっては「木を見て森を見ない」状態といえる。理想主義者なのかもしれないが、僕は、インタラクションデザインは単に機械の振る舞いを最適化する以上のものであることを強く願っている。もっともっとその上を行くものであり、何かを使用するときの心地よさを提供し、感情面にも影響を与えることであると考えている。これは、製品が「どのように」動くのべきかということだけではなく、「なぜ」そのように動くのかを問うということだ。果たしてこれを行うべきなのだろうか、これを行うことによって人々の生活にいい意味での影響を与えることができるのだろうか、といったように問いかけなければならない。

インタラクションデザインを徹底して行い、ほぼ自動的に「ユーザーの目的に合う」ような反応を得ることができるようになったあかつきには、より大きなインタラクションデザインのゴールが全体像として見えてきて、人々の生活はより向上し、我々人間もより強く理解し合えるようになるべきだと考えている。

本サイトに掲載している 「O Danny Boy」の記事は、ダン・サファー氏 より許可を得て、翻訳・転載しているものです。

関連サイト

  • O Danny Boy [odannyboy.com] (パーソナルサイト)

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