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イノベーションをサポートする、コラボレーションソフトウェアの未来 / 森島 秀明
2008年9月 9日 掲載
『DESIGN IT! magazine』vol.1の特集「Feature-1」を掲載しています。
1月に開催された「Lotusphere 2008」では、IBMが提供する「Lotus Notes/Domino」シリーズの新機能や将来像について、いくつかの興味深い発表があった。
まずNotes自身が、Eclipse 上に構築されたことで、Notesのコラボレーション機能とネットワーク上の様々なリソースのマッシュアップが可能になるという進化を遂げた。また、NotesのMac OS X対応や、iPhoneからWebブラウザを介して、Lotus Dominoが管理するメールとカレンダーにアクセスできるようになったのだ。
後者のiPhone 対応は、ネイティブなアプリケーションとしてではなく、Lotus Dominoの機能拡張製品「DominoWeb Access」を使って提供される。日本IBMで同製品を統括している森島 秀明氏は、次のように解説する。
「これまで、クライアントソフトをどのOSやどの機種に対応させるかという場合には、市場でのシェアをもとに判断されることがほとんどでした。しかし今回は、エンドユーザーが日常生活で時間別にどのような端末に接していることが多いのかという視点から考えました。その結果、将来的にiPhoneのような携帯端末から利用するシーンというのは増大するだろうと判断し、まずはWebブラウザベースの対応版 をリリースしました」。将来的に、グループウェアに代表されるコラボレーションツールがオフィスの中だけで使用される状況は少なくなっていくだろうと予測し、他社に先駆けて対応したわけだ。
「せっかくのiPhoneの使い勝手を妨げないように、反応速度などのインタフェースにもこだわりをもって開発を進めています」と同氏は続ける。
イノベーティブな業務活動を支援する環境を提供
Notesの開発過程でも、今回は3つほどのユーザーのペルソナを設定し、それぞれのペルソナの視点から 300 以上の細かな修正点を一つひとつ改善していったという。
例えば「、会社のスケジュールと個人のスケジュールは同じ画面で見たいけれど、個人のスケジュールは会社のツールではなくGoogleのカレンダーに登録したい」、といったニーズが実際にあったという。こうした要請に対しても、「ブラウザベースですから、マッシュアップ的な手法で柔軟に対応できます」という。
では、セキュリティ面についてはどうなのだろうか。外出先からのデータアクセスに対しては、端末紛失時の情報漏えいなどの危惧もある。「ブラウザからのアクセスはデータを端末にダウンロードしないため、企業の情報管理部門の方々の反応は悪くありません」(同)とのことだ。
さらに、「それ以上にどこからでもデータにアクセスできることで、社員が場所や状況に縛られず、イノベーティブ(効率的かつ創造的)に業務を推進できるという点が受けています。いつでもどこからでも必要なコミュニケーションをサポートできる道具として、コラボレーションツールや携帯端末があるとすれば、IBMはその道具を最大限に活用できる環境を提供しようとしています」(森島氏)。
今後、Notesはどのように進化していくのだろうか。「調査会社のガートナーが数年前から使っているキーワードとして、『コンシューマーIT』があります。一般向けのIT 機器やその活用法が、どんどんビジネスの場に逆輸入されている現在の状況を指しているキーワードですが、iPhoneのようなコンシューマー向けに登場した使い勝手の良い製品を、どのようにビジネスの現場に引き込んでいくかがポイントになると思います。電子メールも、一般ユーザーに普及してからビジネスに導入され、今では不可欠なツールになりました。これまでの企業システムの進化に対して、コンシューマー製品のデザインや使い勝手をフィードバックし、イノベーティブな環境を構築していきます」と森島氏は話している。
『DESIGN IT! magazine』vol.1の特集「Feature-1」を掲載しています。
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