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DESIGN IT!の6つのテーマの<基本を知る>書籍をご紹介します。

2008年10月 1日 掲載

DESIGN IT! magazine』vol.1のBooks「Know:ここから始めよう」を掲載しています。

DESIGN IT! magazineのBooksコーナーでは、6つのテーマに対して、自ら書籍を開拓して論評してくださる方を募集しています。
今回の担当:鎌田 博樹清水 誠川添 歩上野 学篠原 稔和(敬称略)

Strategy(ストラテジー)

企業や組織が内外の要因を正確に捉え、市場の中で競争力をもち、イノベーションを起こし続けて差別化し、永続的に成長していくための戦略を構築します。

マイケル・ポーター(著)
土岐 坤、 服部 照夫、 中辻 万治 (翻訳)
ダイヤモンド社1980 年

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『競争の戦略』

すぐれた古典は知恵の結晶であり、無限の応用の可能性を秘める。現代の経営戦略理論の古典と呼ばれるマイケル・ポーターの『競争の戦略』を、なぜビジネスとITにわたるストラテジーの古典として推奨するのか。理由は、ポーター理論こそインターネット時代のビジネスモデルの指導理論として、新しい展開を産み出しているからだ。アップルの「iPod」からグーグルに至るまで、影響を受けていないものはないと言っても過言ではない。

日本では大企業に「選択と集中」を説く際に使われることが多いが、この読み方は適当ではない。工学者でもあるポーターの理論の本質は、「バリュー・プロポジション」の発見と創造、それを実現するた めのプロセスの設計、様々な経営要素と情報の連携にある。そして、ビジネスをアーキテクチャとコ ンテンツ、インタフェースとして捉える点にある。だからこそ、プロセスの可視化と制御が容易になったWeb時代になって開花したのだ。(鎌田)

ISBN-10: 4478371520
ISBN-13: 978-4478371527

さらに深めよう:『サービスサイエンス入門 ICT技術が索引するビジネスイノベーション



Design Management(デザインマネジメント)

デザインによるイノベーション、組織のあり方、プロセス、分析方法などを通じ、デザインの考え方や諸活動をビジネスの中核として、デザインを戦略の中に位置づけます。

トム・ケリー 、 ジョナサン・リットマン(著)
鈴木 主税、 秀岡 尚子( 翻訳)
早川書房 2002年

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『発想する会社! 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』

数々の革新的なプロダクトデザインを生み出してきたIDEO社のゼネラルマネージャが、同社の熱狂的で遊び心あふれる企業文化を紹介する。それはまさに、イノベーションの文化と言えるもので、世の先進的な経営者達が喉から手が出るほど欲しがっているものだ。

端的に言えば、ポイントは「観察」「ブレインストーミング」 「プロトタイプ製作」となる。それを彼らは徹底的に突き詰め、そして楽しんでいる。例えば、よくある普通のショッピングカートを、わずか5日間でリデザインするという課題にチャレンジした際には、まずオフィスを飛び出して食料品店に行き、人々の行動を観察。次に集中的なブレインストーミングで膨大なアイデアを出し、それらをいくつかのプロトタイプに集約していく。結果的に彼らは、ショッピングカートを通じて買い物という行為自体をデザインし直してしまうのだ。(上野)

ISBN-10: 415208426X
ISBN-13: 978-4152084262

さらに深めよう:『ヒット企業のデザイン戦略 イノベーションを生み続ける組織




Usability(ユーザビリティ)

システムの利用品質を向上させるために、ユーザーの行動に着目し、反復的なテストと修正、そしてそれらを包含したデザインプロセス(UCD:ユーザー中心設計)に取り組みます。

ヤコブ・ニールセン(著)
篠原 稔和(監訳)/ 三好 かおる(訳)
東京電機大学出版局 1999 年

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『ユーザビリティエンジニアリング原論 ユーザーのためのインタフェースデザイン』

ユーザビリティ界の重鎮ニールセンが94 年に出した入門書。「ユーザビリティ」は、「学習しやすさ、 効率性、記憶しやすさ、エラー発生率、主観的満足度」の5つの要素から構成されるとしている。また、 ユーザビリティ向上への取り組みを工学として扱い、その価値の定量化を試みると同時に、設計開発プロセス全体に関わるサイクリックな活動として捉えることの重要性を強調している。「ユーザビリティエンジニアリングの活動は、ユーザーインタフェースがデザインされる前の段階から始まり、製品の寿命が続く限り行われます」( 本文より)

具体的な方法としては、ユーザー調査やプロトタイピング、そしてヒューリスティック評価やユー ザビリティテストといった代表的な評価メソッドを紹介している。その多くは、著者自身が長年の研究によって確立したもので、現実のプロジェクトにおいて実践可能であることを重視している点が特徴的だ。 (上野)


Interaction(インタラクション)

人とコンピュータのダイナミックな対話を円滑にし、刺激的な体験とするために、創造性と工学技術を組み合わせて、迅速で正確な情報提示やユーザーの利便性を生み出します。

ベン・シュナイダーマン(著)
東 基衛、 井関 治(監訳)
日経BP社 1987年

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『ユーザー・インタフェースの設計 使いやすい対話型システムへの指針』

ソフトウェアの操作方法として、GUIがまだ主流ではなかった頃に、対話型システムの「使いやすさ」 を獲得する理論や原則について体系的に解説した古典的名著。「うまく設計された対話型システムで は、システム自体は見えなくなってしまい、ユーザーは本来の仕事に専念できる」( 本文より)

この困難な仕事をやりとげるためには、「ユーザー・ニーズへの感受性、設計開発時のきめ細かい 配慮、入念なテスト」が重要だという。そして設計の8つの黄金律として「一貫性、近道、フィードバッ ク、段階的な達成感、可逆性、制御権、記憶負担の軽減」というガイドラインを示しており、それが現 在では一般的なデザイン原則として知られている。また、各種インタラクションのパターンを示した り、プロトタイピングを重視した設計プロセスを提案するなど、優れたユーザーインタフェースの実現 に必要な取り組みを網羅的に紹介した最初の文献と言える。(上野)


Information Architecture(情報アーキテクチャ)

情報提供者と情報利用者の双方の目的と利便性を分析して、最適な情報を提示するために、情報の組織化・ラベリング・ナビゲーション・検索を捉えて構造を組み上げます。

ルイス・ローゼンフェルド、 ピーター・モービル(著)
篠原 稔和(監訳) / ソシオメディア株式会社(訳)
オライリー・ジャパン 2003 年

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『Web情報アーキテクチャ 最適なサイト構築のための論理的アプローチ』

今でこそ、一般的な用語となった情報アーキテクチャ。本書の初版は、その言葉がほとんどの人になじみのなかった10 年前に出された。Webがその技術やビジュアルデザインの発展によって注目さ れる中、技術やビジュアルという形で表現されるWebの本質であり、また「伝える」ということの本質でもある情報の関係性について着目し、その重要性を説く役割を果たした。

2003 年に邦訳の出た第二版では、その関係性の構築についてさらに具体的で実践的な方法を 提示し、初版の倍以上のボリュームとなっている。本書そのものが、情報アーキテクチャの理論と実 践についての情報を見事に整理して構築したものと言える。「つたえる」ことで「わかる」ことを実現す るには、どのように「つなげる」べきなのか。そのことを理解する教科書として、そして日々確実に実施 して成功させるツールとして、常に座右に置きたい一冊だ。(川添)

ISBN: 978-4873111346

さらに深めよう:『シンプリシティの法則



Contents Management(コンテンツマネジメント)

コンテンツを重要な資産と位置づけて最大限に活用するために、コンテンツの収集・管理・発信の3つのプロセスをトータルに捉え、一連のライフサイクルの中で情報を管理します。

ボブ・ボイコ(著)
ソシオメディア株式会社(翻訳)
毎日コミュニケーションズ 2007年

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『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド 基本・計画編 - 上・下巻』

2001年に米国で発売されたコンテンツマネジメントのバイブルが第二版になり、国内でも昨年末に発売された。CMSの和書を見ると、ツールのインストールや使い方の解説、特定の商用製品のみの紹介に終始するものが多く、汎用性に欠けたり内容が陳腐化してしまっており、決定打となる書籍が存在しなかった。

本書は、「コンテンツ」とは何か、それを「管理(マネジメント) 」 することの意義、導入の進め方など、根本的な概念を丁寧に解説。加えて、ヒントやリファレンス、チェックリストやゲストによるコラムも散りばめられているため、導入プロジェクトを進めるための実践的なヒントも得ることができる。まずは、コ ンテンツの解説や管理方法、導入の計画方法までを網羅した上巻から読み始めてみたい。最初は斜 め読みで全体像を理解しておき、プロジェクトや運営で課題に直面した時に、関連する部分をじっくり 読み返すことで、さらに理解が深まるだろう。(清水)

ISBN-10: 4839920885
ISBN-13: 978-4839920883

さらに深めよう:『The Web CMS Report 2008




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