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DESIGN IT!が注目する書籍の<著者とのQ&A>をご紹介します。
2008年10月 1日 掲載
『DESIGN IT! magazine』vol.1のBooks「Contact:著者に聞こう」を掲載しています。
渡辺 弘美さんに聞こう
渡辺 弘美( 著)
ソフトバンククリエイティブ 2007年
『ウェブを変える10の破壊的トレンド』
出版後の反響で、最も印象に残っている出来事は何ですか?
自分としては日本の大手IT企業の方からの反応を期待していました。米国のWebビジネスの潮流を、日本の大手企業の方に伝えたかったんです。ところが出版後、たくさんの方々からコンタクトいただきましたが、外資系IT企業とベンチャー企業の方が中心でした。このギャップが印象的でした。
今、追加で書き足したいと思っていることは?
SNSやWiki、フォークソノミーなど多くのソーシャルメディアが登場しましたが、そろそろ個々人の能力で全てを管理するのが難しくなってきています。ソーシャルグラフやデータポータビリティに焦点を当て始めたサービスも開発されてきましたので、ユーザーや情報の関係性を表現する技術については機会があれば追記したいところです。
第8章「インターフェース~よりわかりやすく、使いやすく」は、本誌に直接関連のある章ですね。
マイクロソフトの「Surface」が、米国のAT&Tストアに並び始めました。また同社は、「Touch Wall」と呼ばれる壁一面に表示される情報を、両手で自由に操作するインタフェースを発表しています。今後、ますますユーザーがあっと驚き、感動するようなユーザーエクスペリエンスに焦点を当てたプロダクトが 注目されると思います。
DESIGN IT! magazineでは6つのテーマを軸に、デザインからITを考え、読み解いていこうとしております。6つのテーマの中で、関心のあるテーマはありますか。また、それはどういった点ですか。
ITの中で基礎的な階層に位置づけられるアーキテクチャの設計というのは、残念ながら日本は不得手という印象です。しかし、ユーザーが直接触れるアプリケーションレベルのデザインは得意です。エンターテイメントの要素を加えて、楽しいと思わせるアイデアを日本から沢山発信できるのではと期待しています。
滑川 海彦さんに聞こう
滑川 海彦( 著)
技術評論社 2007年
『ソーシャル・ウェブ入門 Google、mixi、ブログ 新しいWeb世界の歩き方』
出版後の反響で、最も印象に残っていることは?
小飼 弾さんのブログ「404 Blog Not Found」 [blog.livedoor.jp] と糸井 重里さんのWebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」 [1101.com] に取り上げもらったことです。どちらの場合もAmazonの順位が2時間足らずで、2桁にまで急上昇しました。ソーシャルWebのパワーを、文字通り目の前で実感することになりました。
今、追加で書き足したいと思っていることは?
Gmailの機能がいろいろ強化されたことです。しかし、これは3刷でかなり書き足しましたから。
「ソーシャルWeb」への進化の中で、ユーザーインタフェース(UI) はどのような役割を果たしていると考えていますか?
イスラエルの有名なベンチャー起業家でベンチャーキャピタリストのヨシ・ヴァルディという人物がいま す。彼がUIの重要性についてこんな小話をしてます。「ピカピカの新車の高級外車を買ったと思え。そこへ運転席に野良犬が入り込んで糞をしたらどうなる?ピカピカの車がもう台なしだ。つまりそれがUIだよ。UIが悪かったら犬が糞をした車と同じだ。いくら高級外車でも使いものにならなくなる」と。私もまったく同感です。皆さんにも、それだけ重要なものだという認識をもっと持って欲しいと思います。
DESIGN IT! magazine では6つのテーマ、「ストラテジー、デザインマネジメント、ユーザビリティ、インタラクション、情報アーキテクチャ、コンテンツマネジメント」で、デザインからIT( 情報技術) を考え、読み解いていこうとしております。上記6つのテーマについて、関心のあるテーマはありますか。また、それはどういった点ですか。
いずれも重要な視点だと思いますが、もうひとつUIには「アート」であるという特徴があるように思います。つまり音楽や映画と同じでまずセンス、才能がものを言います。委員会でコンセンサスをまとめて も、名曲は作れないのと同じです。iPhoneの本質はUIで、しかも結局ジョブズという稀代のキャラクターの独走から生まれたものでしょう。
天才は作れるものではありませんが、米国という国は1人の天才を発見したらまわりがとことん利用します。才能を生かすのが上手です。それでグーグルやFacebook、iPhoneといった、革新的なものがど んどん出てくるわけです。それにひきかえ日本はどうか? いろいろ考えていく必要があると思います。
DESIGN IT! magazineの読者に対して、メッセージはありますか?
先ほどのUIの話と関連するんですが、 UIというのはアートであると同時に、さらに広くいうと「カル チャー」だと思います。例えば、日本発のマンガやアニメが世界のポップカルチャーに深い部分で影響を与えています。ある意味、20 世紀のアフリカ系アートが、現在ある世界のポップカルチャーを形作ったのに匹敵するできごとではないでしょうか。
しかし考えてみると、日本は800 年も前に「源氏物語絵巻」といった洗練されたメディアUIを完成さ せていたわけですから、当然とも言えます。UIというのは本来、日本文化の最も長けている領域ではな いでしょうか。日本発のキラーUIが世界を席巻するというのは夢でもなんでもなく、とても現実味のある可能性だと思います。
今、「TechCrunch」 [techcrunch.com] というWeb 2.0ビジネスを専門にフォローするブログの翻訳をしています。その設立者であるマイク・アリントンはTime 誌恒例の「世界でもっとも影響力のある100人」にブロガー代表として選ばれ、新しいインターネットメディア王国づくりに 邁進してます。
このTechCrunchが今年9月にサンフランシスコで、いわゆるWeb2.0系のスタートアップ50 社を選んで、ベンチャーキャピタリストや大企業のM&A担当者、マスコミなど1000 人以上の聴衆の前でプレゼンを行う機会を提供するというイベントを準備しています。なお、昨年の第1回の模様を取材した記事が技術評論社のサイト [gihyo.jp] にアップされていますので参考にして下さい。
これからは、グローバルマーケットに向けて起業して日本に逆輸入してくるのが、スタートアップ企業 の成功の近道ではないでしょうか。皆さんの積極的な参加を期待しています (TechCrunch50!) [techcrunch.com] 。
ISBN-10: 4774130818
ISBN-13: 978-4774130811
『DESIGN IT! magazine』vol.1のBooks「Contact:著者に聞こう」を掲載しています。
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