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国内キーマンの目 UIはいまどき珍しいフラットでシンプルなデザイン
2008年10月 1日 掲載
『DESIGN IT! magazine』vol.1のReview+Communication「Reports」を掲載しています。
国内のキーマンはFacebookをどのように見ているのだろうか。ユーザーインタフェースとビジネスの2つの観点から、ソシオメディア株式会社の上野 学氏と「TechCrunch」日本語版翻訳者の滑川 海彦氏が見極める。
「Facebookの画面は、今どき珍しく全体にフラットなデザインでシンプルですが、その中身はプログラムが高度にモジュール化され、ダイナミックに構成されています。Ajax 的な振る舞いも随所に取り入れられており、全般的にスムーズで効率的に操作できます」と、ソシオメディアの上野 学氏は分析する。
また、「各アプリケーションのWeb パーツは、ディスクロージャーによって開閉可能になっており、また配置位置もドラッグ&ドロップで変更できます。そのため、インストールしているアプリケーションが多くなっても一覧性を保てるようになっています」 (同) という。各アプリケーションは、プロフィールページのWeb パーツ以外にも、独自のページを持つことができる。そのため、たくさんの情報を表示するようなアプリケ6ションは、Webパーツ内ではフィード的な情報の断片だけを見せて、そこからアプリケーションのページにリンクさせることになる。もちろん、Facebookのインタフェースの中に組み込まれることに変わりはないので、ユーザーは一連の世界観の中で色々なアプリケーションを利用できる。
一方、「アプリケーションはあくまでもFacebookのページを構成する要素なので、制約も多い。そのため、思いどおりの機能や見た目を実現するのが難しい場合もあります」( 上野氏)とのことだ。
また、FacebookにはiPhone (iPod Touch) 向けに用意されたユーザーインタフェースを備えている。
これについて、「Facebookのデザインテイストはそのままに、画面要素を限定したミニマム版と言えますが、基本的な機能はそのまま使えるし、操作性もよく考えられている。何よりも、iPhone向けWebアプリケーションとしてかなり洗練されたものに仕上がっている」と上野氏は評価する。
既存のWebアプリケーションをどのようにモバイル対応させるか、またiPhone 向けWebアプリケーションのデザインはどうすべきか、などを考える上で、開発者にとって参考になる存在と言えそうだ。
Facebookにとって来年こそが正念場!
Facebookは創業からわずか4 年で、これほどの巨大な存在になったのは驚異的だ。スピードだけで言えば、グーグルの創生期を凌ぐものがある。
だが、「Facebookとグーグルとの間には大きな違いがあります。最大の違いはグーグルが検索連動広告という確固たるビジネスを早期に発見できたのに対して、Facebookはまだどうやってトラフィックを収入にするかを模索中という点です」と滑川 海彦氏は指摘する。そして、「SNSというのは、本質的にあまり儲からないビジネスなのかもしれません」と続ける。SNSのユーザー、特にヘビーユーザーは自らが参加しているSNSを、言わば「わが家」のように感じている。強引な広告の掲載はその私室に土足で上がり込むようなことになり、反感を買いかねないわけだ。
一方で、トラフィックを処理するにはハードウェアや、システム開発に膨大な投資が必要になる。
「現在のFacebookは、ベンチャー資金の調達を重ねて自転車操業しています。また、これほど巨大化すると買収できる企業も限られてきます」( 同)。
そうしたことを考え併せると、Facebookの今後は、安定的な経営が可能な広告モデルを開発することができるかどうかに掛かっているようだ。
滑川氏は「来年がFacebookにとって正念場になるのでは」と見ている。
『DESIGN IT! magazine』vol.1のReview+Communication「Reports」を掲載しています。
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