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UI短評:Yahoo! Japanのリニューアル
2008年12月25日 掲載
『DESIGN IT! magazine』vol.1のReview+Communication「UI短評」を掲載しています。
本欄では、最近の様々な製品・サービスの動向を、ユーザーインタフェース(UI) の視点からとりあげる。今回は、ここ数ヶ月で続けざまに行われた大手サイトのリニューアルにおけるUIの変化について、 重要と思われる点をいくつかとりあげてみた。
もはやリンク表現は青文字・下線にしなくても良いか!?
リンクの文字の色が変わり、下線がなくなった
Yahoo Japan [yahoo.co.jp]
今年1月1日、Yahoo! Japanがリニューアルした。全体的な見た目を含め、多数の変更がなされた が、UIから見た今回のリニューアルにおける最も大きな変更は、テキストリンクの表現だ。Yahoo!は当初から、ブラウザのデフォルトである「青字に下線」という表現を頑なに守ってきていた。それが今回、日本に先立って変更されていた米国と同様の「下線なしの暗青色、マウスオーバーで下線表示」というスタイルに変更された。
POINT 目的に合致したスタイルの選択
ユーザビリティ上の一般的な原則からすれば、現在、使用可能な機能がすべて見えていることが望 ましい。その視点からは、オリジナルの方が使いやすいはずだ。
だが、この大きな変更には2つの意味がある。
ひとつはYahoo!の役割の変化、もうひとつはインターネットユーザーの成熟だ。インターネットの黎明期に作られたYahoo!は、おすすめのサイトを適切に分類して提供することが大きな役割だった。今のYahoo!は分類ではなく検索とコンテンツの提供が主である。リンク集であればリンク部分の強調が重要だが、検索はフォームからするし、コンテンツは下線がない方が読みやすい。青の彩度を落として黒に近くしたのも、リンクという機能よりも読みやすさ(読まれるという機能)を優先した結果だと考えられる。
そしてもちろん、スタイルシートの普及によりマウスオーバーでリンクテキストに下線がつく表現がか
なり普及し、そうしたものに慣れたユーザーが多数になった、というのがもうひとつの理由だと思われる。Yahoo!の変更に習うべきは、ただネットユーザーの成熟だけを理由にして、簡単にスタイルを決めて
しまうことではなく、ユーザーがサイトを利用する目的と、どのように合致させた見た目を提供するか、ということだ。
(ソシオメディア)
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